解答
問題1:2、4
問題2:2、4
問題3:2、4
解説1
モーラステープL40mgは有効成分としてケトプロフェンを含む貼付剤であり、添付文書では接触皮膚炎や光線過敏症に注意するよう記載されています。とくに光線過敏症については、使用中は天候にかかわらず戸外活動を避け、日常の外出時も貼付部を衣服やサポーター等で遮光するよう求められています。また、白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるため、紫外線を透過しにくい色物の衣服などを着用することが記載されています[1]。
したがって、選択肢2、4が適切です。選択肢1の「白い薄手のズボンなら問題ない」は、添付文書の注意と逆の説明になります。選択肢3のように、日焼け止めだけで貼付部位を露出させてよいとする指導も不十分です。日焼け止めは紫外線対策の補助にはなり得ますが、ケトプロフェン貼付剤では貼付部位そのものを衣服やサポーターで覆う説明が重要です。選択肢5も誤りです。添付文書では、使用後数日から数カ月を経過して光線過敏症が発現することがあるため、使用後も当分の間、同様に注意することとされています[1]。 高齢者では貼付部の皮膚状態に注意して慎重に使用することも添付文書に記載されています。暑い季節の服装、畑仕事、散歩、ゴルフ、屋外レジャーなどは、薬局で具体的に確認したい生活情報です[1]。
解説2
本症例では、モーラステープ貼付部位に一致した四角い紅斑、かゆみ、ヒリヒリ感、水疱様変化があり、さらに家庭菜園という紫外線曝露の機会があります。ケトプロフェン貼付剤による光線過敏症または接触皮膚炎を疑うべき状況です。添付文書では、発疹・発赤、そう痒感、刺激感などの皮膚症状が認められた場合には、直ちに使用を中止し、患部を遮光し、受診することとされています[1]。
厚生労働省・PMDAの「薬剤による接触皮膚炎」マニュアルでも、光毒性接触皮膚炎・光アレルギー性接触皮膚炎は、薬剤を使用した部位が紫外線を浴びた後に、ひりひり感、痒み、紅斑、浮腫、丘疹、水疱などを生じると説明されています。また、ケトプロフェンを含む貼り薬・塗り薬は、重症の光アレルギー性接触皮膚炎を起こす薬剤として挙げられています[2]。
選択肢1のように「よくあるかぶれ」として継続すること、選択肢5のように「場所をずらせばよい」と考えることは、ありがちな誤りです。症状が広がり、水疱・びらんを伴う場合は重症化の可能性があるため、医師へ情報提供し確認する必要があります。水疱を自宅で破る選択肢3も感染や悪化の原因となり得るため不適切です。薬歴記録と処方医への情報提供を含む選択肢4は、再発予防の観点から重要です。
解説3
ケトプロフェン貼付剤による光線過敏症が疑われた患者では、同じ薬剤を「痛い時だけ」「日焼け止めを塗れば」と自己判断で再使用することは避けるべきです。モーラステープL40mgの添付文書では、光線過敏症の既往歴がある患者は禁忌とされています[1]。したがって、選択肢2、4が適切です。
薬剤師が介入すべきポイントは、単に「湿布でかぶれた」と記録するだけでなく、ケトプロフェン貼付剤による光線過敏症疑いとして薬歴に残し、次回以降の同成分処方や患者の自己使用を防ぐことです。必要に応じて、処方医へトレーシングレポート等で情報提供し、アセトアミノフェン、他成分の外用薬、物理療法、装具、リハビリなどを含め、患者背景に応じた代替策を検討してもらうことが望まれます。
また、ケトプロフェンに感作された場合、同系統のNSAIDsや一部関連物質との交叉反応にも注意が必要とされています。モーラステープL40mg添付文書では、チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート、オキシベンゾン、オクトクリレン含有製品に対して過敏症の既往がある患者も禁忌に含まれています[1]。この点からも、薬剤師はOTC外用薬、日焼け止め、化粧品、脂質異常症治療薬などの使用歴を必要に応じて確認する視点を持ちたいところです。
服薬指導のポイント
- 「貼っている場所を日光に当てない」が基本
「湿布を貼ったまま外に出ないでください」だけでは不十分です。実際には、患者は買い物、洗濯干し、車の運転、畑仕事、散歩などで知らないうちに紫外線を浴びています。 剥がした後も有効成分が残ることにも注意が必要です。 - 白い服・薄手の服では不十分なことがある
添付文書では、白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるため、色物の衣服などで遮光するよう記載されています[1]。夏場は「膝」「肩」「腰」「腕」など、貼付部位と服装の組み合わせを具体的に確認します。 - はがした後も注意が続く
添付文書上は、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるため、使用後も当分の間、同様に注意することとされています[1]。本稿では、確実性を優先し、期間を「4週間」とは断定せず、添付文書の表現に合わせて「使用後も当分の間」としています。 - 症状が出たら、貼付を中止・遮光・受診
赤み、かゆみ、ヒリヒリ感、水疱、腫れ、色素沈着などがあれば、まず原因薬剤の中止と遮光が重要です。薬剤師判断でステロイド外用薬の使用だけを勧めて済ませるのではなく、医療機関の受診につなげます[2]。 - 再使用を防ぐ薬歴記録が重要
「湿布かぶれ」ではなく、「ケトプロフェン貼付剤による光線過敏症疑い」と具体的に記録します。再処方時、一般名処方時、OTC相談時に見落とさないことが薬剤師の重要な介入です。
今月のこやし
これから暑くなる季節、貼付剤による光線過敏症は、薬局で見逃したくない副作用の一つです。特にモーラステープなどケトプロフェン含有貼付剤では、「貼っている間」だけでなく、「はがした後も当分の間」貼付部位を紫外線にさらさないよう指導する必要があります。
患者さんは「服で隠れている」「曇りの日だった」「少し赤いだけ」「前にも使ったから大丈夫」と考えていることがあります。しかし、白い薄手の服は紫外線を透過することがあり、屋外作業や散歩、車の運転、洗濯干しなど、日常生活の中にも紫外線曝露の場面は多くあります。
薬剤師のこやしは、処方薬の説明を「1日1回貼ってください」で終わらせないことです。
どこに貼るのか、どんな服装で外に出るのか、いつまで遮光するのか、症状が出たらどうするのか。
この4点を確認するだけで、患者さんの副作用予防につながります。
また、光線過敏症が疑われた場合には、薬歴に具体的に記録し、同じケトプロフェン含有貼付剤の再使用を防ぐことが大切です。必要に応じて医師へ情報提供し、代替薬や非薬物療法を一緒に検討する。その一歩が、夏場の貼付剤トラブルを減らす「明日へのこやし」になると考えます。
【参考文献】
- モーラステープL40mg 添付文書(PMDA)。禁忌、重要な基本的注意、重大な副作用、遮光指導、高齢者への注意。
- 厚生労働省・PMDA:重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬剤による接触皮膚炎」(令和5年4月改定)。光毒性接触皮膚炎・光アレルギー性接触皮膚炎、ケトプロフェン含有貼付剤、早期対応の記載。
- 日本皮膚科学会:接触皮膚炎診療ガイドライン2020。接触皮膚炎の分類、光接触皮膚炎、UVAの関与に関する記載。
- European Medicines Agency:Ketoprofen topical referral。外用ケトプロフェンの光アレルギーリスクと、医療者・患者へのリスク最小化策に関する規制当局レビュー。
今月の担当者
学術委員会 委員 中西成仁


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