解答
A 正しい:組み換えタンパク型ワクチンは50歳以上97%、70歳以上91%の高い発症予防効果を示し、帯状疱疹後神経痛(PHN)予防効果も非常に高い(80%以上)。高齢患者や基礎疾患のある患者では、生活の質(QOL)の低下に直結するPHNの発症を確実に防げる点が重要であるう。
B 正しい。2025年4月から開始した定期接種は原則65歳で接種が原則(+5歳刻みで70〜100歳は経過措置として2029年まで5歳ごとに接種機会)。生ワクチン・不活化ワクチンの両方が公費対象であり、免疫不全の有無・費用・副反応などを説明し、患者と相談して選択する必要がある。
C 誤り:帯状疱疹罹患歴があっても定期接種の対象となる。
D 誤り:生ワクチンは免疫不全者には禁忌であり、適用範囲はむしろ狭いと考えられる。
E 誤り:PHN予防効果は組み換えタンパク型ワクチンで効果が高いことが報告されている。一次効果の観点から考えると主選択は組み換えタンパク型ワクチン(シングリックス)。
解説1.2025年度開始となったの定期接種制度の要点
対象年齢 原則:65歳の年度に生涯1回
(ただし経過措置として、70・75・80・85・90・95・100歳の年に接種機会あり:2029年度まで※)
対象ワクチン 生ワクチン・組み換えタンパク型ワクチンの両方
交互接種 不可
帯状疱疹既往 罹患歴があっても対象
任意接種を既に1回受けた場合 残りを定期接種として扱う
※「5年に1回」ではなく、あくまで65歳の生涯1回+経過措置。
解説2 .2種類のワクチンの本質的な違い
| 項目 | 生ワクチン(ビケン) | 組み換えタンパク型ワクチン(シングリックス) |
| 接種 | 1回(皮下) | 2回(0・2か月、筋注) |
| 帯状疱疹予防 | 50〜60%(高齢で低下) | 90%以上(70歳以上で91%) |
| PHN予防 | 60%前後 | 非常に高い(80%以上) |
| 持続 | 5年程度で効果低下 | 10年以上(長期追跡データあり) |
| 免疫不全者 | 不可(生ワクチンのため) | 使用可能(組み換えタンパク型ワクチンのため) |
副反応は組み換えタンパク型のワクチンで多い局所痛・筋肉痛多いが数日で軽快
→ 一次目的(HZ・PHN予防)の観点で、シングリックスは高齢者に明確な利点。
帯状疱疹ワクチン副次的なメリット(慢性炎症の抑制と認知症予防)
生ワクチンで認知症発症が約20%低下した自然実験(誕生日で区切るRDデザイン)
→ 健康行動バイアスを除外でき、信頼性が高い [1]
組み換えタンパク型ワクチンでも認知症リスク低下が示唆される研究が報告されている [2]
認知症予防のメカニズムの仮説としては、ヘルベスウイルスの再活性化は、低度の脳炎
血管炎、慢性神経炎症を引き起こし、脳の脆弱性を悪化させる。ワクチンにより、先んじて免疫を付けておくと、この炎症の発生が減らすことができ、認知機能低下の進行を遅らせる可能性があると考えられている。同様の地検はインフルエンザ、肺炎球菌ワクチンの接種者でも、示されており認知症リスク低下を示す大規模研究が増加している[4]。感染症が引き起こす急性全身炎症が、血液脳関門を通過して神経炎症を悪化させる可能性がある[5]。
■ 引用文献
1.Eyting M, et al. A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia. Nature, 2025.
2.Taquet M, et al. The recombinant shingles vaccine is associated with lower risk of dementia. Nature Medicine, 2024.
- Strezova A, et al. ZOE-LTFU 11-year efficacy of recombinant zoster vaccine. eClinicalMedicine, 2025.
- Kwon MJ, et al. Association of Influenza and Pneumococcal Vaccination With Risk of Alzheimer Disease. JAMA Netw Open, 2022.
- Polisky V, et al. Varicella-zoster virus reactivation and dementia risk. Nature Medicine, 2025
今月のこやし
優先順位の原則
最初に伝えるべきは「帯状疱疹・PHNを防ぐ」という一次目的に対する効果。
認知症や炎症リスク低下は、付加的メリットとして後から伝える。
「まずは帯状疱疹と、その後のつらい神経痛を防ぐことが一番大切です。最近、帯状疱疹ワクチンだけでなく、インフルエンザなどのワクチンでも、全身の炎症を防ぐことで認知症リスクが下がる“可能性”が示されています。公費で接種が受けられるこの機会に、ぜひ先生とご相談ください。」
今月の担当者
学術委員会 委員 小林亮



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