内服が難しくなったがん疼痛患者さん:麻薬の剤形切り替え

解答

問1  2・3・4

問2  2(4.2mg:25μg/hr)

 

解説1

2:フェンタニル貼付剤(デュロテップMTパッチ)は、他のオピオイドから切り替えた直後、少なくとも初回貼付後24時間程度は血中濃度が徐々に上昇するため、十分な鎮痛効果が得られるまで時間を要します。切り替え時には、添付文書の「使用方法例」に沿って切り替え前のオピオイド投与を一定時間継続し、必要に応じてレスキューでつなぐ考え方が基本です。

3:内服不能(嘔吐、腸閉塞、嚥下困難など)で消化管吸収が期待できない場合や、痛みが不安定で迅速な用量調整が必要な場合、持続皮下注(在宅では小型ポンプ+訪問看護支援、必要に応じPCA)が有力です。貼付剤は「管理が簡便」という利点がある一方で、立ち上がりが遅く、増量も貼り替えタイミングに依存しやすいため、状況により投与経路の優先順位が変わります(ガイドラインや換算表を参照し、チームで選択)。

4:貼付部位の温度が上がるとフェンタニルの吸収が増加し、過量投与リスクが高まります。添付文書でも、外部熱源への接触や熱い入浴、発熱時の注意が明確に示されています。切り替え時は「生活上の熱源(カイロ、電気毛布、こたつ、サウナ、長風呂など)」「発熱の有無」「貼付部位の観察」まで含めて確認・指導することが重要です。

※1は誤り:切替直後に直ちに前オピオイドを中止すると、鎮痛が途切れる・離脱症状が出る可能性があるため不適切です(添付文書では切替前オピオイドの一定時間継続を例示)

解説2

デュロテップMTパッチの換算表(がん疼痛における切り替え)では、モルヒネ経口剤 45~134mg/日が、4.2mg(25μg/hr)に相当します。したがって、本症例の「モルヒネ徐放錠 60mg/日相当」はこの範囲内であり、初回貼付用量は4.2mgが目安となります。

また、初回貼付時は鎮痛効果が得られるまで時間を要するため、切り替え前オピオイドの継続投与(投与回数に応じた例示)と、速効性オピオイドによるレスキューが推奨されています。レスキュー量の目安として、切り替え前が経口剤(または坐剤)の場合、1回量=1日投与量の1/6が示されています。

地域医薬品提供体制強化のためのアクションリストの一環として麻薬小売業者間譲渡許可
について紹介いたします。概略をまとめましたので興味のある方は岐阜県のHPに詳しく掲載されているので見てみてください。

~麻薬小売業者間譲渡(薬局間譲渡)制度のポイント(岐阜県)~

  1. 制度の概要(何のため?)
    • がん疼痛等の緩和を目的とする在宅医療等で、麻薬が適切かつ円滑に患者へ提供される必要性が高まる中、
    在庫不足で急な麻薬処方せんに対応できないといった場面を補完するための制度です。
    • ただし、各薬局が地域の実情に応じて必要な麻薬を購入・備蓄するという基本的な考え方は変わりません。
    (根拠:岐阜県 質疑応答集「制度の趣旨」等)
  2. 法的な位置づけ(要旨)
    • 麻薬小売業者が他の麻薬小売業者へ麻薬を譲渡するには、原則として都道府県知事の許可が必要です。
    • 許可は、複数薬局が共同して申請する枠組み(施行規則 第9条の2)で運用されます。
  3. 譲渡・譲受できるのは「2類型のみ」(許可があっても無制限ではない)
    許可業者間の譲渡・譲受は、次のいずれかに該当する場合に限ります
    • イ:在庫不足
    許可業者の一員が、在庫不足のため麻薬処方せんにより調剤できない → 不足分を補足する必要があると認めるとき。
    • ロ:90日不動在庫
    麻薬卸売業者から譲受けた麻薬で、譲受日から90日経過したもの等を保管しているとき(譲渡残部で譲渡日から90日経過も含む)。
  4. 岐阜県での「事前の許可取得」ポイント(概要)
    • 2薬局以上で共同申請。対象となる麻薬業務所の所在地が岐阜県内であること。
    • 許可基準(目安):原則10業者まで/概ね移動60分程度以内。
    • 翌年1月1日からの許可を希望する場合:前年11月30日までの提出が目安。
    • 有効期限:許可日から翌々年12月31日まで(最長)。
    • 許可書は許可日から5年間保管(確認書類の保存期間等を踏まえた運用)。
  5. 1回の譲渡ごとの実務フロー(超要点)
    • ①適用類型(イ/ロ)を確認(ロは「90日経過」を確認)。
    • ②処方せんの写し+譲受側が作成した「譲受確認書」の交付を受けた後、麻薬を交付。
    • ③同時に、譲渡側が作成した「譲渡確認書」を譲受側へ交付。
    • ④交付時は譲渡側・譲受側が立ち会い、品名・数量・破損等の有無を直接確認。
    • ⑤運搬は管理薬剤師(又は管理の下で業務に従事する者)。
    卸売業者・配送業者の運搬は不可。
    • ⑥「貸借」は不可。取扱いは通常の医薬品の薬局間譲渡と同様に「零売」として扱う。
    • ⑦調製行為は譲受側が実施。譲渡側が処方せんを受領していない場合、予製品(他患者のために予製したもの)の譲渡は不可。
    • ⑧帳簿に記載し、備考欄に相手方薬局名を併記(補助簿作成も推奨)。
  6. 保存・報告(うっかりしやすい所)
    • 処方せん写し+譲受確認書/譲渡確認書:交付日から2年間保存(確認書保存条件)。
    • 帳簿:最終記載日から2年間保存。
    • 年間報告:許可業者間の譲渡・譲受分も「譲り渡し/譲り受けた麻薬の品名・数量」として、毎年11月30日までに都道府県知事へ届出。

今月のこやし

麻薬の「切り替え」は、疼痛コントロール(不足)と過量投与(眠気・呼吸抑制)の両方のリスクが同時に高まる、いわば“ハイリスク移行期”です。特に、内服から貼付剤へ切り替える場合は「立ち上がりが遅い」一方で、生活上の熱源や発熱により吸収が増えて「効きすぎ」も起こり得るため、薬剤師による生活背景の確認が安全性に直結します。

皆様の薬局でも、内服困難をきっかけに麻薬の剤形切り替え相談を受ける場面は増えていると思います。ぜひ「相談記録簿」にご報告ください。その報告が、他の薬剤師にとっての「明日へのこやし」になることを願っています。

【参考文献】
1.デュロテップMTパッチ 添付文書(PMDA)
2.厚生労働省:病院・診療所における麻薬管理マニュアル
3.日本緩和医療学会:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン等
4.国立がん研究センター:換算表(緩和ケア関連資料)
5.緩和ケア関連の症状緩和ガイド(等価換算・レスキュー設定の考え方)

  1. 岐阜県ホームページ

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