慢性特発性蕁麻疹の患者

解答

1,2,4

 

解説

1.正
特発性の蕁麻疹では個々の皮疹に関する直接的原因ないし誘因なく自発的に膨疹が出現する。病歴・身体所見などから関連性が疑われる場合に適宜検査を行うが、むやみにあてのない検査を行うことは慎むとされている。感染、食物、疲労・自己抗体などが単独または複合的に背景、悪化因子となり得るとされている。1)

2.正
抗ヒスタミン薬は蕁麻疹の基本的治療薬である。第二世代の抗ヒスタミン薬は中枢組織移行性が少なく、鎮静性が低いため第一選択薬として推奨されている。(推奨度1〜2、エビデンスレベルA〜C)そして、一種類の抗ヒスタミン薬で十分な効果が得られない場合でも他に1〜2種類の抗ヒスタミン薬に変更、追加するとされている。さらに、別の選択肢として、通常量である程度効果の得られた抗ヒスタミン薬を2倍量まで増量することで効果を期待しうるとも記されている。2)

3.誤
第二世代抗ヒスタミン薬の添付文書中、自動車の運転等についての記載は「運転に従事しないよう注意する」、「運転等に注意する」、「プラセボと同等または影響なし」の3種類が存在する。
眠気について添付文書から抜粋した情報を以下に添付する。

第二世代抗ヒスタミン薬眠気について自動車運転等について
フェキソフェナジン0.1〜5%未満精神運動能に対する影響なしと記載あり
ロラタジン1%以上運転等に影響がなかったと記載あり
エピナスチン0.1〜5%未満重要な基本的注意に運転に注意するとの記載あり
エバスチン1%以上重要な基本的注意に運転に注意するとの記載あり
セチリジン0.1〜5%未満重要な基本的注意に運転には十分注意するとの記載あり
オロパタジン5%以上重要な基本的注意に運転等には従事させないように十分注意すると記載あり
ベポタスチン0.1〜5%未満重要な基本的注意に運転等は注意させると記載あり
レボセチリジン0.1〜5%未満重要な基本的注意に運転には十分注意するとの記載あり
ビラスチン1%未満自動車運転能に影響なしと記載あり
デスロラタジン傾眠 2%未満精神運動機能はプラセボと同等と記載あり
ルパタジン5%以上重要な基本的注意に運転等に従事させないように十分注意すると記載あり

4.正
患者には眠気の副作用が出ていると考えられる。主治医に報告し、指示を仰ぐ必要がある。

参考文献

1)慢性突発性蕁麻疹の診断・治療の最新情報https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/79/2/79_93/_pdf/-char/ja

2)蕁麻疹診療ガイドライン2018

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf

今月のこやし

今回の記事からもわかるように、『慢性特発性蕁麻疹』は蕁麻疹患者全体の半数以上を占めると言われるほど身近な疾患です。長期にわたり症状が持続すること、原因不明で自発的に膨疹が出現することから皮膚科以外の受診機会も多く、皮膚科処方を日々扱う薬剤師以外でも、この第二世代抗ヒスタミン薬の重複や、倍量処方を今後目にする機会があるのではないでしょうか。
 同効薬重複や過量投与ではなくガイドラインに正しく沿った処方であることを理解し、患者さまと信頼関係を築く一助となりますように。また、この記事が皆様のこやしになれば幸いです。

※お詫び

薬友ぎふ掲載記事に誤字がありました。訂正しお詫びいたします。

 誤 : 慢性突発性蕁麻疹 → 正 : 慢性特発性蕁麻疹

 誤 : 地図上 → 正 : 地図状

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