眼のレーザー手術をする患者

解答

2

 

解説

1 内科医では隅角の状況などが分からないために疑義紹介しても使用などの有無の判断がつかないので、適切ではない。
2 その通り
3 レーザー治療で穴をあけるのは、硝子体ではなく瞳孔の虹彩周辺部
4 急性発作予防のため両眼に行う必要がある
5 ミドリンPは急性閉塞隅角緑内障には禁忌で、前処置として縮瞳薬(サンピロ)を使用する。

患者インタビューより、急性閉塞隅角緑内障により、房水流出促進の手術を行うことがわかる。

閉塞隅角緑内障は,虹彩が隅角(すなわち、前房辺縁部の虹彩と角膜の接合部)へ引き上げられるか、または押し上げられるかのいずれかの要因により生じ、房水排出が物理的に妨げられて眼圧が上昇する。眼圧上昇により視神経が障害される。視力障害が急激に進行し、永久に持続する恐れがあるため、直ちに治療を開始しなければならない。

根治的治療はレーザー周辺虹彩切開術(LPI)により行い、瞳孔ブロックに穴をあけて後房から前房へ房水が流れるもう1つの流出路を作る。他方の眼で急性発作が生じる可能性は80%であるため、LPIは両眼に行う※1

虹彩周辺部にレーザーを照射することで穿孔し、前後房の間に房水の通路を形成し、非観血的に瞳孔ブロックを解除する方法である(図 35)。ただし、高眼圧による角膜浮腫や炎症による前房混濁が残った状態では、レーザーが虹彩に到達しにくく、また炎症を助長することも考えられるので、十分に眼圧を下降させて角膜を透明化し、炎症症状が消退してから行う。 また、治療前の前処置として十分に縮瞳をしておく必要があるために、サンピロ(ピロカルピン塩酸塩)の点眼を行う。

参天製薬 眼科関連疾患情報「緑内障」より抜粋

 そのほか、眼科での日帰りレーザー手術として、後発白内障に対するYAG(ヤグ)レーザーによる後嚢切開術、網膜裂孔に対するレーザー光凝固、糖尿病性網膜症・網膜静脈塞栓症に対する汎網膜光凝固術(網膜全領域に対するレーザー治療)などがあり、この時の前処置薬は、散瞳薬(ミドリンP)を使用することを加筆しておく。

以下、参考図を添付する。

参考文献

1)メルクマニュアルプロフェッショナル版
2)治療薬マニュアル2022

今月のこやし

 マイスリー(ゾルピデム)は非常によく使われる薬ですが、急性閉塞隅角緑内障の患者に禁忌(眼圧が上昇し症状を悪化させる)のため内科医に疑義照会し、服薬中止する必要があります。更に眼科医へもトレーシングレポートによる情報提供をすることが望ましいでしょう。
 催眠・鎮静薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬のうち、急性閉塞隅角緑内障に対して禁忌の記載がない薬剤はユーロジン(エスタゾラム)のみです。

 他の睡眠薬として、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオン、オレキシン受容体拮抗薬であるベルソムラ(スボレキサント)、デエビゴ(レンボレキサント)は急性閉塞隅角緑内障に対して禁忌ではないため処方提案できるでしょう。(2022年3月現在)※2

 この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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