解答
1,2,3,5
解説
設問① 〇
ラテックスアレルギー(即時型過敏症)は、ゴム製品に含まれているゴムの木のタンパク質がアレルゲンとなって起きる。皮膚がゴム製品と接触した場合に、その部分に即時に接触性じんましんを発症、ゴム製品に付いているパウダーに含まれているラテックスアレルゲンのタンパク質を吸い込んだ場合に、ぜんそく発作、アレルギー性鼻炎、結膜炎などを起こす。ひどいと、血圧低下が起こり、ショック状態に陥ることもある。ラテックス感受性人口は、全人口では1%程度とされているが、医療従事者などリスクグループでは8~12%に感受性があるとされている。ラテックス手袋を使用したことのない対照群に比べ、ラテックス手袋の使用期間が5年以内の群ではアレルギー症状が多く出ていたと報告されている(オッズ比2.4倍)1)。
*オッズ比とは、「ある群における事象の起こりやすさに対する別の群における事象の起こりやすさ」を表す。2つの群で事象の起こりやすさが等しい場合には、オッズ比は1である。
設問② 〇
職業性皮膚疾患として起こる手湿疹の頻度は高く、70~80%は接触性皮膚炎・湿疹群が占め、発症部位の80%以上が手や上肢である。2)
職業性接触皮膚炎・湿疹群を発症しやすい職業として、理・美容師、看護師、調理・炊事・皿洗い業の割合が高い。また、男性より女性の方が罹患率は高く、この現象は遺伝的な要因ではなく環境的な要因が関与しているとされ、女性は業務以外でも家事などにより皮膚炎を発症しやすい状況であることや理・美容師、看護師など皮膚炎を発症しやすい職業に女性の割合が多いことも関係しているとされる2)。また、手湿疹が誘発される女性は20歳代~30歳代前半の若年層に多い。
設問③ 〇
バナナ、アボカド、キウイ、クリなどのアレルギーの方はラテックスアレルギー(ラテックス-フルーツ症候群)を起こしやすいので注意が必要である。
これらの食物のタンパク質は、ゴムの木のタンパク質と似ているため、ラテックスアレルギーを起こしやすい。ラテックスと(バナナ、アボカド、キウイ、クリなど)に同じアミノ酸配列があるので交差耐性が起こっているとされる。
ラテックスアレルギーの患者のうち種々の新鮮な果物やその加工品を摂取した際に、口腔アレルギー症状などを経験する割合は30~50%と言われている。3)
医療従事者やカテーテルなどでゴム製品をよく用いている患者など普段アレルギーと全く無縁だった人にも起きる。
ラテックスアレルギーの主な原因としてゴム手袋、輪ゴム、ゴム風船、粘着テープ、コ
ンドームなどがあげられる。

https://www.latex-gl.jp/ch08/
設問④ ×
即時型食物アレルギーは食後2時間以内に、じんま疹、咳、呼吸困難を起こしてくるタイプである。食物に対して作られたIgE抗体が主たる原因と考えられている。即時型症状で最も重症な症状はアナフィラキシーであり、その際にはエピペンを使用するタイミングが非常に重要である。緊急性の判断と対応について十分に理解しておきたい。4)
学校薬剤師にはアドレナリン自己注射の保管・管理など、学校の実情に即した適切な助言が求められている。5)
しかし、全国の薬剤師を対象にした調査ではエピペンの処方経験が少ないことが判明しており、技能や知識を獲得するべくアレルギーの関連学会や,医療従事者向けの講習会などで学修することが望ましいとされている。6)
三重県薬剤師会では学校薬剤師を対象にしたエピペンに関する研修会を行っている。7)

また、即時型の特殊なタイプとしては「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」、「口腔アレルギー症候群」がある。
口腔アレルギー症候群は、花粉アレルゲンに対するIgE抗体が、果物や野菜アレルゲンにも反応するために起こる即時型アレルギーであり、食物を摂取した直後に口唇、咽頭のかゆみなどを呈する。抗ヒスタミン薬内服により症状の緩和が期待でき、大部分の方は治療が不要である8,9)。
経口免疫療法とは、原因食物を医師の指導の下で連日摂取させて、閾値(症状が出現する摂取量)の上限や脱感作状態(同じアレルギー食物を連日摂取していなければ症状が出ない状態)に導き、個々の重症度や経過に応じて耐性獲得を目指す療法である。6)
設問⑤ 〇
ラテックスアレルギーは、天然ゴム製品に含まれるゴムの木由来のラテックスタンパク質により感作され、ラテックス特異的IgE抗体が産生されて起こるⅠ型(即時型)アレルギー反応である。ゴム手袋には、通常、製造の段階において加硫促進剤や老化防止剤などの化学物質が添加されており、これらがアレルギー性接触皮膚炎の原因となる。10)
アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に接触する分子量が1,000以下の化学物質により誘発される遅延型(Ⅳ型)アレルギーであり、臨床症状としては痒みを伴う湿疹反応、いわゆる“手荒れ” を生じる。
【引用文献】
1) 厚生労働省 ラテックス又はラテックス含有製品による疾病
2) 文献:独立行政法人労働者健康安全機構 労災疾病等医学研究 普及サイト物理的因子疾患:―職業性皮膚障害の実態・ 発生機序ならびにその予防に関する研究の追跡調査―,
3) Wagner S, Breiteneder H. The latex-fruit syndrome. Biochem Soc Trans. 2002;30:935-40.
4) 東京都食物アレルギー緊急時対応マニュアル
5) 日本薬剤師会 子供たちの健康
6) 全国の薬局薬剤師を対象としたアナフィラキシーに関する知識及びエピペン調剤時の指導についての実態調査
7) 三重県薬剤師会 エピペン指導ができる学校薬剤師養成研修会について
8) ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014
9) 食物アレルギー研究会Q&A
10)日本ラテックスアレルギー研究会 よくわかるラテックスアレルギー10章
今月のこやし
薬局での患者インタビューのコツ
例えば、「アレルギーは何かありますか?」ではなく、「ゴムでかぶれたり、食物を食べて口の中に違和感があったことはないですか?」と聞いてみてください。また、お薬手帳の表紙にシールでその旨を表示し、局内スタッフと本症例を共有しておくのが良いでしょう。
(例)私はラテックスアレルギーです。
医療用具(医療用手袋、酸素マスク、カテーテル)、ゴム製品、絆創膏などに
ご留意下さい。
今回は「相談記録簿」に報告された内容をもとに作成しました。
2024診療報酬改定にあたり、地域支援体制加算の要件としてOTC(48薬効群)の項目が加わりましたね。
「ファーストアクセス」、「軽医療の窓口」である薬局には、より多くの相談が寄せられることが想定されます。
皆様の薬局でも今回のような相談を受けることは珍しくないと思います。
是非、「相談記録簿」にご報告ください。
そして、その報告が、他の薬剤師にとって「明日へのこやし」になることを願っています。





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