Ⅰ型糖尿病の患者に処方されたブドウ糖

解答

問1  1

問2  3

 

解説

問1について 
Ⅰ型糖尿病(急性発症)は、主に自己免疫学的機序により、膵臓にあるインスリンを分泌するβ細胞が破壊され、インスリンが出なくなるため慢性高血糖状態となり糖尿病を発症する。以前はIDDM(インスリン依存性糖尿病)やⅠ型糖尿病と表記されていたが、現在では“Ⅰ型”糖尿病と表記が統一された。原因はまだ不明な点もあるが、約90%が自己免疫性(1A型)、残り10%が特発性(1B型、原因不明)とされている。
我が国における小児型糖尿病の年齢調整発症率(/10万人)は1.4~2.2人とされ、もともと若年者(小児)に多いが、最近は小児Ⅰ型糖尿病の発症率の増加および発症の若年化の傾向にある。発症のピークは思春期にあり、それ以降は男女とも発症が低下する事が分かっている。しかし、成人にも発症することがあり小児だけの問題ではない。

本症例ではインスリンリスプロBS注を1日3回注射しているが、ミグリトールは1日1回夕食前のみであることから、まずは朝食・昼食を抜いていないか、規則正しく食事を摂っているか等、患者の食生活を確認する必要がある。また、ポリフェノール(特定保健用食品)は糖の吸収を遅延させる作用を有している。今回のケースでは度々低血糖症が起きているとのことから少なからずポリフェノールの影響を受けているのかもしれない。1)、2)、3)

運動はエネルギー代謝の面から有酸素運動と無酸素運動に分類できる。
有酸素運動は、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ハイキング、エアロビクスダンス、フィットネスバイク、水泳等、筋肉への負荷が比較的軽い運動のことである。この運動は、アデノシン三リン酸:ATP(運動中に筋を収縮させるためのエネルギー)を体内の糖や脂肪が酸素とともに作り出すことから、有酸素運動と呼ばれている。
有酸素運動中は、炭水化物を摂取しない限り、ほとんどのⅠ型糖尿病患者の血中グルコース濃度は低下する。これは、有酸素運動開始時にインスリン濃度を十分かつ迅速に低下させることができず、体循環で上昇する可能性があるためである。そして、インスリン濃度が上昇することで、肝臓におけるグルコースの生成よりもグルコースの消費が増加し、脂肪分解が遅延する可能性がある。
通常、有酸素運動を開始してから約45分以内に血糖が低下し始めるため、有酸素運動を始める前に糖質を摂取するか、インスリンの減量、あるいは両者が必要である。なお、インスリンは皮下注射で投与されるため、投与量を減量してもすぐには血中インスリンが低下しないことにも注意が必要である。
また、Ⅰ型糖尿病患者では、有酸素運動後も筋肉内のグリコーゲン貯蔵のために筋肉へのブドウ糖の取り込み亢進は持続し、運動後24時間以上に渡って低血糖のリスクが上昇する。午後に有酸素運動を行った場合には、夜間低血糖のリスクが上昇するため特に注意が必要となる。4)
一方、無酸素運動は筋トレ、短距離走、跳躍、ウェイトリフティング、相撲等、短時間に強い筋力を使う運動のことである。エネルギーを消費する際に酸素を消費しないことから無酸素運動と呼ばれている。
筋トレ等は無酸素運動の一種であり、特定の筋肉に強い抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返すため「レジスタンス運動」とも呼ばれている。
レジスタンス運動や高強度インターバル運動では、インスリン拮抗ホルモンの上昇等により、有酸素運動に比べて血糖値は低下せず、むしろ軽度の血糖上昇をきたすことがある。

問2について
ブドウ糖が処方されているが
医薬品としてのブドウ糖の適応は、経口的栄養補給、ブドウ糖負荷試験であり、使用目的が低血糖時の対応となると、適応外である。
低血糖症状に備えるブドウ糖は、製薬メーカーより提供される食品規格のものと理解しておくこと。(2023年12月現在)

参考資料

1)堀美智子:薬とサプリメントの相互作用,医学のあゆみ,Vol.208 No.12,985-990,2004
3)小内享他:代替医療の日本特有の問題点,治療 Vol.84 No.1,31-37,2002
3)吉川敏一:医療従事者のためのサプリメント・機能性食品事典,講談社,2009
4)THE LANCET  Diabetes&Endocrinology 
 Ⅰ型糖尿病における運動管理:コンセンサスステートメント

こんな服薬指導を

薬剤師
薬剤師

処方にあったブドウ糖ですが、医薬品メーカー提供の食品ブドウ糖(無料)をお渡しますので必要の際にはお申し出下さい。一方、ブドウ糖が必要となった事実をこちらが把握しておくことが重要ですので必ずお伝え下さい。

「筋トレ」をしていると話でしたが、ジムでは他に有酸素運動(ウォーキング、エアロビクスダンス、フィットネスバイク、水泳等)も取り入れることが多いと思います。確かに筋トレの後に有酸素運動を行うと運動としては効果的です。
しかし、有酸素運動を開始してから通常、約 45 分以内に血糖が低下し始め、有酸素運動後24時間以上に渡り低血糖のリスクが上昇、特に午後の運動の場合には、夜間低血糖のリスクが上昇するため、ブドウ糖は常に携帯してください。

Ⅰ型糖尿病でも食事療法と運動療法は治療の基本です。食事療法をおこなわず、過食してインスリンの注射量を増やすと体重が増え、肥満だけでなく脂質異常症や高血圧症発症の心配も出てきます。適切な食事療法、運動療法を継続するとインスリンが効きやすい体ができます。インスリン療法を適切におこなうことによって、健康な人と同じような日常生活が送れますし、糖尿病の合併症を予防し、その進行を防ぐことができます。

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